確定申告における「所得税の計算のしくみ」をご説明します。
収入と所得の違い
個人の「収入」と「所得」を同じ意味として使ってしまう場合もありますが、所得税を計算する上で「収入」と「所得」は以下の使い分けとなります。
- 収入……1月から12月までの1年間の総収入金額(額面金額)
- 所得……収入から必要経費を差し引いた金額(事業所得など)
◎所得区分
所得は所得税法によって10種類に分けられます。
(所得の一例)
- 給与所得……勤務先から受ける給与や賞与などの所得
- 事業所得……卸売業、小売業、農業、漁業、製造業、サービス業その他の事業から生ずる所得
- 不動産所得……土地や建物などの不動産、不動産の上に存する権利(借地権など)、船舶や航空機の貸付けによる所得
- 雑所得……公的年金等や副業による所得(原稿料やシェアリングエコノミーによる所得など)
所得税の決まり方(事業所得、公的年金を除く雑所得、不動産所得の場合)
所得税は、収入金額に応じて決まるものではなく、「課税される所得金額」に応じて変わります。
まずその年の1月1日から12月31日までの収入金額を算出し、そこから必要経費の合計金額も引きます。
収入(売上)-必要経費=所得(事業所得・公的年金を除く雑所得、不動産所得の場合)
所得税額は、上記計算式で算出された「所得」から、「所得控除」を差し引いて残った金額(課税される所得金額)に対して税率をかけて計算します。
所得-所得控除=課税される所得金額
課税される所得金額×所得税の税率=所得税額
所得税の税率の決まり方
所得税の税率は 課税所得金額(1,000円未満の端数金額切り捨て)によって異なり、5%から45%の7段階に区分されています。
◎所得税の計算例(課税される所得金額が600万円の場合)
600万円×20%-42万7,500円=77万2,500円
まとめ
上述のとおり、所得税は課税される所得金額に応じて高くなります。
納める所得税額を抑えるためには、
- 事業のために使用した「必要経費」を正しく算出すること
- 適用できる「所得控除」をもれなく活用すること
この二点が重要です。
たとえば、所得税をもっと抑えたい場合は、必要経費の計上方法だけを考えるのではなく、「ふるさと納税」「iDeCo(イデコ)」や「小規模企業共済」を活用するなども一つの方法です。