年末調整の計算方法を把握しておこう!

年末調整を行うには、所得税に関する知識が必要です。所得税法は専門性が高いため、税務署や税理士に相談しながら年末調整を行う人がほとんどでしょう。とはいえ、年末調整の流れぐらいは知っておきたいもの。その手順を解説します。

 

年末調整とは何か

事業主は、従業員に給与を支払う際、所得税を差し引きます。しかし、差し引いた所得税の額はあくまで概算額。年末調整とは、年末に正しい年間の税額を計算し、差額を追加徴収、あるいは還付する一連の手続きを指します。

年末調整の税額の計算手順

(1) 年間の給与額を算出する

まずは、従業員ごとに1年間で支払った給与の総額を計算します。このとき、給与から差し引いた健康保険などの社会保険料、源泉徴収税も集計しておきましょう。あとで使います。

(2)給与所得控除額を差し引く

給与所得控除とは、おおまかにいうと従業員が仕事をする上で必要な経費のことです。従業員の支出する経費を税務署が細かくチェックすることは困難なので、法律で一律に定めているわけです。この給与所得控除の金額は、税務署で配布している「年末調整のしかた」という冊子、または国税庁のウェブサイトで確認できます。

(3)所得控除額を差し引く

給与所得控除額の次は、所得控除を差し引きます。所得控除とは、以下を指します。

 

所得控除に該当する控除

  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 障害者控除
  • 基礎控除 など

所得控除は、従業員から回収した「給与所得者の扶養控除等申告書」と「給与所得者の保険料控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の情報をもとに、それぞれの額を計算します。

(4)所得税率をかける

(1)から(2)と(3)を差し引いた額が、所得税の課税対象となります。所得税の税率は課税される所得金額によって変わるため、「所得税の速算表」をもとに計算しましょう。

所得税速算表

※「所得税の税率」をもとに作成(出典:国税庁)

 

たとえば、課税対象となる所得額が200万円の場合は、下記のように計算します。

200万円×10%-9万7,500円=10万2,500円

(5)住宅ローン控除額を差し引く

所得税額を計算したら、住宅ローンを受ける従業員については住宅ローン控除額を差し引きます。該当する従業員から「住宅借入金等特別控除申告書」を回収してください。ただし、住宅ローン控除を受ける最初の年分は、従業員が確定申告によって控除を受ける必要があるため、年末調整の際には控除を行いません。

(6)源泉徴収税額と比較する

従業員ごとに正しい所得税額が計算できたら、年間の源泉徴収税額と比較して過不足を求めます。年間の源泉徴収税額が正しい税額よりも多いときは、その差額を従業員に還付します。一方、年間の源泉徴収税額が正しい税額より少ないときは、従業員から追加で税金を徴収する必要があります。

年末調整の計算が終わったら……

年末調整の計算が終了しても、手続きは終わりではありません。下記に作成すべき書類についてまとめます。

(1)源泉徴収票

年末調整の計算を終えたら、従業員ごとに「源泉徴収票」を作成し、従業員に配布しましょう。源泉徴収票には、年間の給与額や控除額をまとめて記載します。従業員からの信頼を得るためにも、なるべく早く配布したいところです。

(2)法定調書合計表

「法定調書合計表」とは、従業員それぞれの源泉徴収票の内容をひとつにまとめたものです。事業主は、原則として翌年の1月31日までに税務署へ「法定調書合計表」を提出しなければなりません。

(3)給与支払報告書

事業主は、従業員の「給与支払報告書」を従業員の住む市区町村に提出しなければなりません。給与支払報告書とは、従業員の住民税を算出するために必要な書類。提出は、翌年の1月31日までに行いましょう。

 

年末調整は、働いてくれた従業員の税金を代わりに計算する、重要な仕事です。従業員との信頼関係をいっそう強くするためにも、計算ミスや書類の提出もれがないようにご注意くださいね。

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