
税理士を雇うとき、報酬はどう決まるのでしょうか。顧問料の料金表があるケースもあれば、言い値で決まってしまうケースもあるようです。そこで参考にしたいのが、「税理士報酬規定」です。税理士法改正によって2002年3月に廃止されましたが、今も顧問料の目安になってくれるはず。その内容を解説します。
そもそも「税理士報酬規定」って?
税理士の報酬は、2002年3月までは税理士法によって最高限度額が決められていました。この限度額を記したものが「税理士報酬規定」です。税理士報酬規定は下記の7項目から構成されています。
税理士報酬規定で最高限度額が定められていた料金
- 顧問報酬(月額)
- 税務代理報酬
- 不服申立ての代理報酬
- 税務書類の作成報酬
- 税務相談報酬
- 調査立会い報酬
- 日当・旅費及び宿泊料
顧問報酬の月額の最高限度額はどれぐらい?
顧問報酬とは、税務代理及び税務相談に対する報酬のことです。税務書類の作成を依頼する場合は、別途、報酬を支払う必要があります。要するに顧問契約を結べば、書類作成は別途料金が発生するけれど、それ以外であれば税理士が何でも相談に乗ってくれるということなのです。
旧・税理士法では、顧問報酬の最大限度額が税理士報酬規定によって設定されていました。
■顧問料の最大限度額の目安となる旧・税理士法における税理士報酬規定
(1)所得税に関する月額顧問報酬
(2)住民税及び事業税に関する月額顧問報酬
事業所1カ所につき、所得税に定める報酬額の10%相当額
(3)消費税、特別地方消費税その他消費税に関する月額顧問報酬
1税目につき、所得税に定める報酬額の50%相当額
※複数の事業所があるときは、事業所ごとに受注1件として取扱う。ただし、消費税については、事業所数にかかわらず受注1件として取扱う。
(4)給与等の源泉所得税その他の税目(法第2条第1項に規定する除外税目を除く)に関する月額顧問報酬
1税目につき、所得税に定める報酬額の30%相当額
※複数の事業所があるときは、事業所ごとに受任1件として取扱う。
最終的に顧問料の金額は、(1)~(4)の顧問報酬の合計を上限として決定されます。
今は廃止されている規定とはいえ、形のないサービスを提供している税理士にとって、「税理士報酬規定」はいまだ心強い参考資料になっているはず。第三者によって定められた規定は、顧客との双方向の理解を得て料金を決める際にも役立つからです。税理士と契約を考えている人はもちろん、支払っている顧問料が適正かを判断したい人も、チェックしてみてはいかがでしょうか。