配偶者や親族を従業員とし、その給与を経費に計上できる「専従者給与」の制度は、節税に有効な手段です。青色申告者が専従者給与を利用する際に提出する「青色事業専従者給与に関する届出書」の書き方を説明します。
そもそも「青色事業専従者給与」とは?
通常従来は、配偶者やその他親族に給与を支払っても、必要経費としては認められません。しかし、特別な取扱いが認められるケースもあります。青色申告者向けの「青色事業専従者給与」と白色申告者向けの「事業専従者控除」です。
これらを活用すれば、一定の要件のもとに支払った給与は、一部または全額を経費として計上できます。それぞれの詳しい解説は、下記の記事をご覧ください。
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青色申告者向けの青色専従者給与は、活用する前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。
青色事業専従者給与に関する届出書の書き方
では、実際に「青色事業専従者給与に関する届出書」の書き方を見ていきましょう。
(1)届出/変更届出
「届出」に〇をします。
(2)____税務署長 ___年 __月 __日提出
届出書の提出先にあたる、納税地を管轄する税務署名を記入します。管轄税務署は、国税局のホームページの「国税局・税務署を調べる」から調べることができます。その下には、届出書を提出する日付を和暦で記入します。
(3)納税地
「住所地」「居所地」「事業所等」から該当するものを選択し、住所と電話番号を記入します。電話番号は携帯電話番号でも構いません。
- 住所地……住民票のある住所
- 居所地……住民票とは別の住所
- 事業所等……自宅の他に事業所がある場合、事業所のある住所
(4)上記以外の住所地・事業所等
自宅と事業所が別にある場合に記入します。自宅が納税地なら事業所の住所、事業所が納税地なら自宅の住所を記入しましょう。自宅を事務所としている場合は、空欄で構いません。
(5)氏名
氏名をフリガナ付きで記入します。印は認印で構いません。
(6)生年月日
生年月日を和暦で記入します。
(7)職業
総務省の「日本標準職業分類」に準じて、職業名を記載します。
▶参考 日本標準職業分類(総務省)
(8)屋号
屋号(お店の名前等)がある場合は記入します。屋号がなければ空欄で構いません。
(9)令和__年 _月以降
事業専従者に給与を支払い始める年月を記入し、「定めた」に〇をします。
(10)青色事業専従者給与
- 専従者の氏名
専従者の氏名を記入します。 - 続柄
個人事業主から見て専従者がどんな関係にあるかを記入します。たとえば、夫が個人事業主で妻が専従者ならば「妻」と書き入れます。 - 年齢
専従者の年齢を記入します。 - 経験年数
専従者として従事した期間と同種または類似の事業に従事した期間の合計を記入します。 - 仕事の内容・従事の程度
仕事の内容は「経理担当」「販売事務」「記帳事務」「受付事務」などと記入します記載。あわせて「経理責任者」「販売責任者」など、その仕事内容での職責を記入します。従事の程度は、「平日の毎日○時間ほど従事」というように具体的に記入します。 - 資格等
従事する業務に関係する資格を持っている場合は、その資格名を記入します。 - 給料
支給期は「毎月○日ごろ」と記入。金額は毎月の支払金額を記入します。なお、ここに記入した以上の金額を支払う場合は「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出する必要があります。できるだけ将来支払う可能性がある金額を考慮しての上限を記入してください。 - 賞与
「○カ月分」や「○○円」と記入します。 - 昇給の基準
「使用人の昇給基準と同じ」「毎年おおむね○%(○円)」などと記入します。
(11)その他参考事項
専従者が他の職業を持っていたり、学生だったりする場合は、「○○株式会社取締役」「○○大学夜間部」などのように記載してください。特になければ空欄で構いません。
(12)変更理由
空欄で構いません。
(13)使用人の給与
専従者以外に従業員がいない場合は空欄で構いません。従業員がいる場合は、従業員のうち専従者と同じレベルの仕事をする人や、給与の水準を示す代表的な金額を記入します。
(14)関与税理士
届出書を税理士に作成してもらった場合は、その税理士の氏名と電話番号を記入します。自分で届出書を記入した場合は空欄で構いません。
青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限
青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入する年の3月15日です。たとえば、2020年1月1日分からに青色事業専従者の給与を必要経費としたい場合は、2020年3月15日までに届け出を提出する必要があります。
ただし、その年の1月16日以降に開業した人、その年から新たに専従者がいることとなった人は、開業日、あるいは専従者がいることとなった日から2カ月以内に提出してください。
なお、どちらのケースでも提出期限が土日、または祝日の場合は、その日の翌日が期限となります。
家族を従業員にしている方は、青色事業専従者給与に関する届出書を出していたかどうかで、人によっては何十万円と支払う税金が変わってきます。不備なく提出してしっかりと節税しましょう。