領収書は、個人事業主にとって必要経費を証明する大切な書類。では、領収書が発行されない場合、どうやって経費に計上すればいいのでしょうか。経費として認められる条件から注意点までを解説します。
経費を証明する書類は領収書のみ?
そもそも、経費を証明するのは領収書だけではありません。会計後に手渡されるレシートでも、一定の条件を満たせば立派な「領収書」となりうるのです。
領収書に記載されているべき項目
- 領収書の作成者の名称
- 取引をした年月日
- 取引をした内容
- 取引をした金額
逆にいえば、上記の4点が記載されていない場合は、いわゆる領収書であっても「領収書」の役割を果たさないことがあります。年月日や金額が抜けていることはもちろん、「お品代」と記載されるなど何に使ったのかが不明瞭な書類は、トラブルの元となります。発行時に不備がないかを確認するようにしましょう。
レシートも領収書もない場合は、どうすればいい?
経費を証明するには、レシートや領収書などの書類が必要です。しかし、「慶弔関係の費用だから」「口座振替をしたから」などの理由で書類がないケースもあるでしょう。
その場合は、支払いの事実が証明できる書類を保存しておきましょう。
証明書類の例
- 慶弔関係……招待状、案内状
- 電車・バス運賃……IC乗車券利用履歴
- 口座振替……通帳、口座振替のお知らせ
- クレジットカード払い……カード利用明細書
先の4点が記載されている書類がないとしても、それらの根拠となる書類があれば、経費として認められる可能性が高くなります。電車・バス運賃なら、パソコンなどに乗車履歴を記録しておき、1カ月ごとに印刷するなどの対応も考えられます。
どうしても参考となる書類がない場合は、手帳や出金伝票などに経費の支払いについて詳細を記入し、形で残しておくことが大切です。その場合も、上記の4点の明記をお忘れなく。
とはいえ、白紙に自分自身(受取側)が記入するなど、「領収書」を作成するのは厳禁。文書偽造の疑いをかけられる可能性があるからです。怪しいと見なされれば、税務調査の際に筆跡鑑定をされるケースもあります。
記帳義務化に伴い、より厳しい時代に!
個人事業主の経費の線引きは難しく、領収書の出ないものも多々あるため、書類を集めるのも一苦労です。2014年からは個人事業主にも帳簿の作成が義務付けられ、取り巻く環境がより一層厳しくなっています。
そのような環境の中、あなたにもいつ税務調査が入るかわかりません。いざというときに慌てないためにも、日ごろから経費を証明する書類を集めるように心がけましょう。