インターネット広告の氾濫、そしてオウンドメディアの台頭により、目にとまる機会も増えてきた「フリー素材」。商用でもOK! と掲げることで企業、個人を問わず広く使われています。
そんな中、フリー素材サービスを主戦場に活躍するモデルも増えてきています。“フリー”素材に起用されているのに、一体どうやって稼げるのでしょうか? 無料写真素材サイト「ぱくたそ」を中心にモデル活動を続ける河村友歌さんにご登場いただき、フリー素材モデルのビジネスモデルに迫ります。
女子大生フリー素材モデルはどうやって稼いでいるの?
――現役女子大生にしてフリー素材モデル。だいぶ忙しい毎日を送っているのでは?
もともとアイドルファンで、写真を集めるのも撮るのも好きだったんですが……まさか自分がモデルとしてお仕事をいただけるなんて、いまだに驚きです。モデルのお仕事は週に1~2本。春休みには出版社の撮影もあり、撮影でスケジュールが埋まった週もありました。
「ぱくたそ」だと、「日本一インターネットで顔写真が使われている男」こと大川竜弥さんが代表格ですが、私も「フリー素材モデル」として週刊誌に登場させていただけるなんて、うれしい限りです!
――「ぱくたそ」には294枚もの画像がアップされていますね。これだけ量があると、さぞかしモデル収入も……!?
いえいえ。撮影によって金額は大きく異なるので、ものすごく収入があるかというと、そうでもないんです。ほとんどがリーズナブルな内容ですから(苦笑)。でも高額な例を挙げると、「ぱくたそ」では企業がPR活動としてフリー素材モデルを起用するコラボ企画の撮影があるのですが、これに参加すると出演料が発生します。コラボ企画の報酬は数万円~30万円ぐらいです。
そして、コンテンツを独自に企画すると、モデル報酬に加えて制作費がカウントされることもあります。私は成人式に合わせて「袴・振袖袴写真素材」をプロデュースしましたが、ヘアメイクさんにもオファーして、衣装をスタイリングして撮影。セルフプロデュースだからすごく楽しかったです! あとは「フリー素材モデル」ということで、いろんなメディアからオファーをいただけるので、それもモデル収入になりますね。
個人事業主として経費もつけてます!(おこづかい帳に)
――女子大生の収入といえば、アルバイトの「給与収入」がほとんどですが、個人事業主としての戸惑いや苦労はありますか?
今年の初めまでは、販売員のバイトも並行して行っていたんです。そこでは、友だちのほとんどが「103万円の壁」を意識してましたね。この壁を越えて、両親の扶養から外れてしまうと大変ですから、みんな年末には青くなってシフトを入れなくなるんです(笑)。それぐらい、大学生の間では常識になってます。
だけど、私はモデルのお仕事がメインになって、家族の問題である扶養控除より、自分の「経費」を考えるようになりました。ほら、ちゃんと、お仕事の内容、ギャラ、源泉徴収分、入金を記録してるんですよ!(ドヤ)
――ノートの表紙には「おこづかい帳」って書いてありますけど! おっ……モデルの経費もいろいろ考えて記入しているんですね。
交通費はもちろんですが、あとは衣装代ぐらいなんですよね。メイク代は、その仕事だけで使いきるなら認められるみたいなんですが……ちょっと難しいかな。美容室代も、取材・撮影とセットになっているなら計上できるみたいです。「ぱくたそ」の方にいろいろと教えていただきつつ、確定申告の準備をしています。
だけど、取引先がとにかく多くって、今年の前半だけで30社以上……支払調書をちゃんと集められるかなぁ。今から悩みの種です。
フリー素材モデル+αを目指してがんばります!
――自分で確定申告をこなす大学生は、そう多くはないですからね。
ええ、源泉徴収なんて、これまでまったく無縁の言葉でした(笑)。だけど、源泉徴収税で10.21%が引かれているのに、社会人になったら住民税、所得税……さらに加算されるんですよね。
――税金で「大人への壁」を感じたとは。だけど、一足先に体験できたのも、フリー素材モデルとしてブレイクしたからですし。
そうなんです! フリー素材モデルになっていなかったら、遊んで終わる大学生活だったかもしれません。実際に社会に出て、制作会社やメディアの方々とお仕事できるのはすごく大きな経験になっています。
今の私には「フリー素材モデル」という強みしかありません。大学を卒業して社会人になったら、「何か打ち出せるものがあるのかな……?」と不安を覚えることもあります。将来は、「○○ができるモデル」として一人で立ちたいと思っています。就職活動やモデルのお仕事を通して、自分の強みが何かを見つけていきたいですね。