障害者本人やその扶養家族が受けられる障害者控除とは
障害者控除について考える

※この記事は2020年12月28日に、税制改正にあわせ、内容を一部修正しました。

 

障害者控除とは、納税者自身や、その扶養親族、控除対象配偶者に障害がある場合に受けられる所得控除です。その控除額は、障害の程度や同居・別居等の条件によって変わります。障害者控除の要件と節税効果について解説します。

「障害者」の要件と「特別障害者」の区分

障害者控除の対象となる「障害者」と認められるには、一定の条件を満たしている必要があります。また、障害の程度によって「障害者」と「特別障害者」に区別されます。なお、障害の等級は、障害者手帳や市区町村長等が発行する障害者控除対象認定書に記載されています。

障害者控除の対象となる人の範囲

(1)常に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にある人
この人は、特別障害者になります。
(2)児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人
このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者になります。
(3)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
このうち障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者になります。
(4)身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人
このうち障害の程度が1級または2級と記載されている人は、特別障害者になります。
(5)精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人
このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になります。
(6)戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人
このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者となります。
(7)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人
この人は、特別障害者となります。
(8)その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人
この人は、特別障害者となります。
出典:国税庁ウェブサイト No.1160 障害者控除

障害者控除の控除金額

障害者控除は、区分によって控除金額が異なります。

障害者控除の控除金額

  • 障害者……所得税27万円、住民税26万円
  • 特別障害者……所得税40万円、住民税30万円
  • 同居特別障害者……所得税75万円、住民税53万円
    ※同居特別障害者とは、特別障害者である控除対象配偶者や扶養親族のうち、納税者自身や納税者の配偶者、または納税者と生計を一にする親族のいずれかと、常に同居している人を指します。

 

これらの控除金額は、通常の扶養控除、配偶者控除等の金額に加算されます。たとえば、控除対象配偶者が同居特別障害者だった場合、控除金額は下記のように計算します。

控除対象配偶者が同居特別障害者だった場合の所得税と住民税の控除額

  • 所得税……配偶者控除38万円+障害者控除(同居特別障害者)75万円=113万円
  • 住民税……配偶者控除33万円+障害者控除(同居特別障害者)53万円=86万円

障害者控除の節税効果は?

では障害者控除によって、どれくらいの節税ができるのでしょうか。先の例で見てみましょう。

同居特別障害者である配偶者のいる年収600万円の個人事業主の場合

年収600万円で課税所得金額が320万円の個人事業主が、同居特別障害者である配偶者の障害者控除を適用した場合、所得税と住民税の節税額は下記の通りです。

 

  • 所得税……113万円×10%=11万3,000円
  • 住民税……86万円×約10%=約8万6,000円
    ※復興特別所得税は含みません。
    ※住民税率は約10%として計算。

 

所得税、住民税の障害者控除以外にも、障害者や障害者の親族が活用できる制度は数多く設けられています。各自治体の福祉課などからの情報をもとに、活用できる制度をしっかりと把握しておきましょう。

 

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