
こんにちは。ライターの井口エリです。
作業は家でやるのが一番はかどる派ではありますが、家にはゲームや漫画などの誘惑が多くあり、このままだといけない……と密かにコワーキングスペースを探していました。なので、この「コワーキングスペース探訪記」を通して自分自身も素敵なコワーキングスペースと出合えることをこっそり期待しています。
今回訪問したのは、JR桜木町駅もしくは みなとみらい線みなとみらい駅が最寄りとなる「BUKATSUDO」。ランドマークタワーのすぐ目の前のこちらは、筆者が以前から気になっていた場所でもあります。
BUKATSUDOは、コワーキングスペースあり、カフェスペースがあり、ダンスや音楽のレッスンができるスタジオがあり、セミナーや上映会を開催することができるホールに、最大で着席24人で利用できる広いキッチンがあるという充実した設備を持つスペース。どんな様子なのか、さっそく見ていきます。
国の重要文化財を見ながら仕事ができる!?
案内してくれたのは、「くらし、生活をリノベーションする」をコンセプトとする京王グループの不動産カンパニー、リビタに所属する川島史さん。BUKATSUDOのマネージャーとして施設の管理・運営を行っています。
まずは個人の作業スペースである、ワークラウンジを見ていきます。月額会員はご自身の月額会員カードで契約の時間内に限り、自由にスペースへの出入りができます(9,000円~/月)。
ドロップイン利用は最初に会員登録をした後(初回カード発行料324円)、受付で出入りをするためのカードを借りることができます。あとは利用後に利用時間数での精算となり、1時間500円、4時間以上利用で2,000円の定額となります。
中を見ると、お、おしゃれ……! それもそのはず。「BUKATSUDO」の運営母体であるリビタは、元々古い建物をリノベーションして新たな価値を加えているリノベーションの不動産会社。
ただ建物をリノベーションをするだけではなく、コミュニケーションやオペレーションを通して、「人の集まる場所」にすることで、ソフト面でもリノベーションをすることを考えているのだとか。この「BUKATSUDO」もその考えが生かされた施設となっています。
各テーブルにはコンセントが完備されており、パソコンでの作業も電源の心配がありません。フリーランスの方の利用はもちろん、気分転換しながら仕事をしたい方のセカンドオフィスや、資格試験などの自習用のスペースといった用途の方が多いそうです。
窓からは国重要文化財のドッグヤードガーデンが見えますし、席が広くゆったりと作業ができます。ワークラウンジの席数は、デスク席からソファ席まで約60席。時間も朝7時から開いているので、出社前に一作業、なんて利用もあるそう。
ワークラウンジ内に、ふかふかの椅子に優しい灯りの、本でも読んだら最高なスポットが!
井口:わー最高! なんだこの椅子は! ここも作業スペースに使っていいんですか?
川島さん:もちろんです。こちらで作業したり、もしくはリラックスしたりしたいときにこちらに移動する方も多いですよ。
井口:最高です。貸し出しコーナーにマクラやひざ掛けもあるので、疲れたからここで休みたいですね。
ちなみに、このカフェのようなエリアはワークスペースの中でも、お話しすることができるエリア。たとえば、電話をかけたいときや商談したいときなどはこちらを使います。
仕事場だけじゃない! カフェやキッチン、部室も完備
ワークスペースを出て、建物の奥に進むと、おしゃれなコーヒースペースがあります。
こちらの「BUKATSUDO COFFEE」は一般の方も利用でき、コーヒー利用だけというお客さんも多いそう。バリスタは12時から19時までの勤務ですが、その他の時間でも飲み物自体の購入はできます。
川島さん:コーヒーにもこだわっていて、さまざまなロースターによるおいしいコーヒーが飲めます。今の気分にぴったりのコーヒーをバリスタに淹れてもらうことだってできますよ。こちらにはコーヒーを飲みに来るだけじゃなくて、コミュニケーションをしにきてくれる方も多いです。作業に行き詰まったり、リフレッシュしたい時にバリスタとお話をされる方もいらっしゃいますよ。
井口:やだ素敵……! こちらの利用者、幸せすぎるでしょ……!
コーヒースタンドの後ろには、広いキッチンも。仲間で貸し切ってパーティをしたり、料理の撮影をしたり。ちなみにこちらは大理石のテーブルなのですが、大理石は温度が上がりにくいため、パンをこねるのに最適なんだそうです。
井口:ここから先ほどのワークスペースが見えるんですね。
川島さん:実は、施設全体としてあまり仕切りのない設計になっているのです。全体がつながっていて見渡せることで、さまざまな利用目的で集まったお客さま間でのコミュニケーションを誘発する狙いがあります。
もちろん、お鍋や食器、調理器具なども充実。材料を持ち込んだらすぐに調理に取り掛かれますよ。
このひろーいブースはシアター形式で最大80名、スクール形式で最大45名が収容可能なイベントホール「HALL」。セミナーや上映会、ヨガ教室、ブランドの展示会、結婚式の二次会などさまざまな用途に使われています。
そして、「BUKATSUDO」ならではの場といえば部室です。
川島さん:「大人が趣味でつながれる場所になりたい」という思いが込められたBUKATSUDOでは、「餃子部」「鍋部」「レコード部」「SF部」など、現在15種類ほどの多種多様な部活が活動中です。
なかには、レコード部のように部室がある部活動もあります。 部活動のほか、部室を会社の分室のような感じで使ってる方もいらっしゃいます。そういった方にも、オフィス利用だけではなく、部活のような何かしらみんなで楽しめるような企画を考えて頂いたりしていますね。
井口:会社帰りにふらっと立ち寄れば仲間がいる場所がある……まさに大人の部活動だ!
川島さん:BUKATSUDOでは話題作の作家本人が登場する「贅沢な読書会」や「本屋講座」をはじめ、たくさんの人気イベントや講座を行っているのも特徴です。
井口:イベントから講座から、いろんな内容のものがあるんですね……。これは逐一チェックしなければ!
BUKATSUDOが仕事のみならず趣味を軸に展開するワケ

写真提供=BUKATSUDO
BUKATSUDOでは毎月さまざまなイベントが行われていて、上の写真は「餃子部」の模様です。
井口:コワーキングスペースは仕事利用が出発点なことがほとんどだと思うんですけど、どうして「大人が趣味でつながる」をコンセプトに、趣味にも力を入れているのでしょう?
川島さん:コワーキングスペースを作るという目的でこちらのスペースを作ったわけではなく、共通の趣味や価値観を起点に新しい仲間との出会いが生まれ、彼らの暮らしがより楽しくなるような、そんな出会いが生まれる場にしたいという思いでこの場所を作りました。
その中で、趣味だけに限らず働く場所ももっと変えられるのではないか?そんな思いからコワーキングスペースを作ったという訳です。なので、コワーキングスペースのみの利用にとどまらず、いろんなことに興味がある人にきてもらえるとうれしいですね。
イベントに講座、そして部活動と、自分の仕事だけじゃなくて人脈や興味関心を広げられるきっかけがたくさんあるので、それを活用していろんなことに挑戦してくれる人たちに集まってもらえると、こちらも含めてもっと活性化していくんじゃないかと思っています。
井口:実際、ここでのつながりが発展した例もあるのでしょうか?
川島さん:部活動の話でいうと、「レコード部」や「餃子部」は、ここで出会い生まれた活動ですが、最近は外でも活動していますね。BUKATSUDOでできた活動が、施設を飛び出していろいろな活動をして、さまざまな仲間に出会ってまた戻って来るような、そういう活動の拠点にしたいです。今年で3年になるのですが、ようやくいろんな動きが生まれてきたという感じがしています。
井口:活動がどんどん外にも広がっているんですね! 素晴らしい。
川島さん:広がっていますね。最初は私たちから仕掛けないとうまく人が集まらなかったりするんですけど、だんだんここで活動している人の動きが「人が人を呼ぶ」ようなサイクルができつつあるので、それがよい感じに広がっているんじゃないかなと思います。
井口:いやー、すごかったですし、スペースの自由度の高さを感じました。こちらのスペースの利用者層ってどの近辺の方が多いのでしょう?
川島さん:施設利用に関しては横浜の方々がメインです。ですが、土日にわざわざ都内から来てくださる方もいらっしゃいます。いろんな講座を開いているので、そういうものに関しては都内だったり、県外か来てくださる方が多くいらっしゃいますね。
井口:本気で会員登録を検討し始めているんですけど、時間的にねらい目はありますか?
川島さん:平日の午前中ですね。あとは、18時以降も比較的落ち着いています。月額会員で18時までの契約の方(平日デイタイム会員)が多いので、その方々がどっと退出する18時以降はドロップインが狙い目です。
まとめ
BUKATSUDOはイベントや講座も多数開催しており、一般利用も可能なカフェスペースもあり、外に開かれた利用しやすい雰囲気で、まるで「総合コワーキングスペーステーマパーク」のよう! イベントきっかけで訪れて、気に入って会員登録していく方も多いそうです。というわけで、取材なのに私も思わず登録しちゃいました(初回カード発行手数料300円)。
こちらからはこれからもアイデアや企画などさまざまなものが生まれそうな「動き」を感じました。こういう外に開かれたコワーキングスペースって素敵だな!