個人事業主が支払う国民健康保険料の計算

個人事業主になると、国民健康保険に加入します。会社員であれば健康保険に加入し、保険料は会社が半額負担してくれます。しかし、国民健康保険の保険料は全額、個人事業主が負担します。

 

では、保険料はどのように計算されているのでしょうか? 保険料を軽減する方法はあるのでしょうか? 今回は、国民健康保険の保険料の計算方法について解説します。

国民健康保険の保険料はどう決まる?

国民健康保険の保険料は、市区町村によって異なります。今回は、東京都で一番人口の多い世田谷区(「東京都の人口(推計)」の概要 平成31年1月1日現在を参照)を例に解説していきます。

国民健康保険料の構成

国民健康保険は、次の要素から構成されます。

 

  1. 基礎(医療)分保険料:74歳以下の方の医療費に充てる分
  2. 支援金分保険料:後期高齢者医療制度の加入者の医療費に充てる分
  3. 介護分保険料:40歳から64歳の方が対象で、介護費に充てる分

 

39歳までの方

1の基礎分保険料と、2の支援金分保険料の合計金額が年保険料になります。

 

40歳から64歳の方

1の基礎分保険料、2の支援金分保険料、3の介護分保険料の合計額が年保険料になります。
※年度の途中で40歳になる方は、40歳になる月分から、介護分の保険料が合算になります。

 

65歳から74歳の方

1の基礎分保険料と2の支援金分保険料の合計額が年保険料になります。
※年度の途中で75歳になる方は4月から、75歳の誕生日の前月までの1の基礎分保険料と2の支援金分保険料を計算します。

国民健康保険料の計算

国民健康保険料には、加入者の所得に応じて負担する所得割額と、加入者全員が均等に負担する均等割額があります。国民健康保険料の構成それぞれについて所得割額、均等割額を算出します。

 

平成31年度(平成31年4月1日から令和2年3月31日)世帯の国民健康保険料の計算方法(1、2、3の合計額)

世田谷区 保険料の計算を基に作成

 

賦課基準額

賦課基準額とは、所得割額を計算する基になる額です。
賦課基準額=前年の所得(収入-経費)額-基準控除33万円

一人で複数の所得がある場合は、すべての所得の合計額から33万円を引きます。

 

世帯の限度額について

平成31年度の国民健康保険料は世帯の1年間分として、基礎分保険料61万円、支援金分保険料19万円、介護分保険料16万円が限度額として定められています。

 

国民健康保険料の計算の結果限度額を超えた場合は、それぞれの限度額の組み合わせ(96万円)が世帯の国民健康保険料となります。

 

年度の途中で加入・脱退された人の保険料

年度の途中で国民健康保険に加入した人の保険料は、加入の届け出をした月にかかわらず、国民健康保険に加入した月(会社を退職した日の翌日、区外から転入した日などの属する月)から月割計算します。また、年度の途中で国民健康保険の資格がなくなった方は、国民健康保険をやめた月の前月までの分を月割計算します。

国民健康保険料の軽減制度とは

前年の世帯所得が下表の基準額以下と判明した世帯は、国民健康保険料の均等割額を減額できます。

 

平成31年度 均等割額軽減基準表

世田谷区 国民健康保険料の均等割額の軽減制度を基に作成

 

旧国保被保険者数

旧国保被保険者数とは、国民健康保険を脱退して後期高齢者医療制度に移行した人で、脱退日付以降継続して国民健康保険の加入者と同じ世帯にいる人です。

 

個人事業主は国民健康保険の保険料を自分で納付しなければなりません。そのため、いくら支払うことになるのかを自身で把握しておかないと資金繰りに影響してくることも……。計算方法をきちんと理解して、支払う国民健康保険料を把握しておきましょう。

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