節税対策も!夫婦ともに個人事業主のとき確定申告で気をつけること

夫婦がともに個人事業主の場合、仕事場や仕事道具を共有していることもあるでしょう。その場合、経費はどのように計上するかご存じですか? そのほかにも、夫婦それぞれが確定申告をする際、気をつけるべきことについて説明します。

 

夫婦でシェアしている事業所の経費はどうやって計上する?

夫婦ともに個人事業主だと、仕事に使うものを共有することも多いでしょう。パソコンやプリンター、電話、デジカメ、出張用のトランクから仕事場まで、シェアするものもさまざま。どちらが経費として計上すれば良いのでしょうか?

 

そもそも、経費として計上できるのは、売り上げに直結するものに対して支払われた費用とされています。また前提として、自分が支払ったものでなければ費用には計上できません。

 

たとえば、自宅以外に事務所を借り、夫婦ともに使っている場合でも、その家賃の支払いをしているのが夫ならば、夫しか経費として計上できません。一方、10万円の家賃を夫婦で5万円ずつ折半している場合は、それぞれが5万円ずつ経費計上できます。

 

扶養控除、社会保険料控除などは夫婦のどちらが受けると得?

税金が安くなる仕組みに「控除」があります。夫婦のそれぞれが確定申告をする場合、どちらが控除を受けたほうが得なのでしょうか? 一般的には、課税所得の高いほうが受けると節税になるといわれています。課税所得の金額が上がるほど、税率も上がるためです。

 

たとえば、扶養控除の対象となる高校生の子どもが1人いたとします。この場合、夫婦のどちらかが扶養控除を受けられますが、夫の課税所得が500万円、妻の課税所得が300万円と仮定すると、夫が控除を受けたほうが得です。夫の所得税率は20%、妻の所得税率は10%ですから、同じ控除額でも節税効果が異なるのです。

 

控除を受けるには、収入や経費などを確定申告の時期に算定しておく必要があります。確定申告の前に、お互いの課税所得がいくらかになりそうかを比較し、どちらが控除を受けるかを決めるのが最善でしょう。

 

なお、国民健康保険を納付書で支払う場合、納付書は家主宛に送られてきます。とはいえ、必ずしも家主が支払いをしているとは限りません。そのため、社会保険料控除をどちらが受けるかは自己申告制とされています。上記同様、課税所得の高いほうが控除を受けると節税になります。

 

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経費も控除も重複には注意を

1枚の領収書の全額を夫婦ともに経費計上することや、控除対象者の子どもが1人しかいないのに扶養控除を夫婦ともに申請することはできません。経費計上や控除申請が重複しないように注意しましょう。重複が発覚した場合は修正申告が義務付けられているだけでなく、故意と判断されれば罰則の対象となることもあります。

 

夫婦がともに個人事業主の場合、確定申告の際に考慮すべきなのは家族単位での節税。個々の節税を優先するよりも、「家族の財布」にとって最善の方法で申告することをおすすめします。

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