法人から個人事業主へ戻したい!個人成りの手続きを把握しよう
個人成りを考える男性

一度は法人成りしたものの、社会保険の負担や決算の煩雑さがネックになって、個人事業主へ戻したい……。こうした悩みを抱えている人もいるのでは? 法人から個人に戻す「個人成り」には、さまざまな税務手続きがあります。今回は、その手続き内容を解説します。

法人から個人に戻す際に必要な手続き

法人から個人事業主に戻すには、法人の廃止手続きを行います。具体的には、2つの方法があります。

(1)会社を解散・清算する

会社が事業活動をやめ、事業や財産を解散、清算する際には、解散の日から2週間以内に法務局で「解散の登記」と「清算人の選任の登記」を行います。これらの登記には登録免許税などの登記費用(4万1,000円 )がかかります。また税務署と市区町村に「異動届出書」を提出します。

(2)会社を休業する

一度事業をストップするけれども、今後再開する可能性がある場合は、会社を休業する方法もあります。休業する際は「異動届出書」に休業することを記載し、税務署や市区町村、都道府県に提出します。これらの手続きには法務局での登記の必要がないので登記費用はかかりません。休業中に利益が出ていなければ法人税を納付する必要はありませんが、都道府県によっては毎年7万円前後の地方法人税の均等割額を納付する義務が発生します。

税務署に提出する法人の廃止手続きの必要書類

会社を解散・清算する場合、休業する場合のどちらにおいても、法人廃止手続きには次の書類を準備し提出します。

 

  1. 異動届出書……法人が解散・清算結了する場合、もしくは休業をする 場合に届け出る書類。
  2. 給与支払事務所の廃止届出書……給与の支払者が支払事務を取り扱う事務所等を廃止した場合に届け出る書類。
  3. 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書……消費税基準期間における課税売上高が1,000万円以下となったことにより免税事業者となる場合に届け出る書類。

個人事業主の開業手続き

法人から個人になったら、今度は税務署で個人事業主として開業の手続きを行いましょう。開業届は必ずしも出す必要はありませんが、出した方が青色申告特別控除を受けられたり、屋号で銀行口座を開設できたりするので社会的信用が厚くなる、 などの恩恵を受けられます。

 

手続きの種類は業種や適用を希望する特例などによっても異なりますが、代表的な書類は下記の5つです。

 

  1. 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
  2. 所得税の青色申告承認申請手続
  3. 青色事業専従者給与に関する届出手続
  4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
  5. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

個人成りしたら確定申告はどうなる?

法人から個人に戻す際の注意点として、会社の所有する資産を個人へ売却するなどして、名義変更をする必要があります。たとえば、法人名義の土地建物や車両において、その手続きが発生することが多くあります。

 

法人化以前に個人事業主として確定申告をしていた場合には、上記5つの書類の申請状況を確認する必要 があります。以前申請していて、その後取り下げをしていなければ、再度申請する必要がなく、もしその状況が不明な場合には各種申請や届出書の取り下げをしていないかどうかを所轄税務署に確認しましょう。

 

法人から個人に戻す手続きをしっかりと行えば、社会保険の負担や決算の煩雑さから開放され確定申告をしていくことになります。さまざまな負担を軽減して、個人事業主として新たな出発をしていきましょう。

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