自分の事業がうまくいっているときでも「取引先の倒産」という事態はいつ起こるか分かりません。そのような不測の事態に直面した場合、事業主を対象に資金を貸す共済制度をご紹介します。
最高8,000万円の融資が受けられる制度
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」は、あらかじめ加入しておくと、取引先の倒産時に融資を受けられ、当面の資金繰りに役立てることができる制度です。もしもの事態になったとき、掛け金の10倍の範囲内で(最高8,000万円)、回収困難な売掛金債権等の額を限度に、融資を受けることができます。
掛け金を利用して賢く節税
毎月の掛け金は5,000円から20万円の範囲(5,000円刻み)で自由に設定できます。また、掛金は総額800万円まで積み立てることが可能です。掛け金は掛け捨てではなく、全額損金計上できるのが特徴。法人の場合は税法上損金に、個人事業の場合は必要経費に算入できるので、節税のメリットを受けることができます。
万が一に備え、運転資金を確保できる手段を用意しておく
筆者は月に10名以上の事業主の方にお会いします。多くの事業主の方は仕事を軌道に乗せていますが、中には取引先の突然の倒産により、売掛金の回収が困難になるケースもあります。このとき、回収見込みだった資金を自社の運転資金として考えていたら、自社の資金繰りは悪化してしまいます。そのため、このようなリスクをカバーする方法を確保しておくことは、有効な対策の1つといえます。
借入先は民間の金融機関しかないと思っている事業主の方は少なくありません。まずは貸し付け条件を確認し、節税にもつながる国の制度を最大限に活用してみませんか?