車 やPC、プリンターなど、事業に必要な設備をリース契約で導入している人もいるでしょう。リース代は経費として計上できますが、契約の種類によって、会計処理が異なります。今回はリース契約時に知っておきたい記帳のポイントを説明します。
リース契約の種類と会計処理方法
リース契約は大きく以下の3種類に分類されます。
所有権移転ファイナンス・リース
途中で契約をキャンセルできないリース契約のことです。また 、その資産に関して発生する費用(修理代など)を自分で負担しなければなりません。そして、リース契約期間が終わった後は所有権が使用者に移ります。そのため経費として計上する場合は月々の支払い金額ではなく、購入したときと同じ通常の減価償却扱いです。 つまり、その設備の金額を資産ごとによって決められている耐用年数で割って経費計上します。たとえば、エアコンなら6年と決まっています。
所有権移転外ファイナンス・リース
上記の所有権移転ファイナンス・リースと同じく、途中で契約をキャンセルできず、資産に関して発生する費用は自己負担です。ただし、リース契約期間が終わった後は返却する必要があります。
経費計上は「リース期間定額法」を用いて減価償却をします。
リース期間定額法
経費に入れる金額={(リース資産の取得価額 -残価補償額)÷リース期間の月数}×その年のリース期間の月数
【リース期間定額法を使った減価償却の計算例】
300万円の車をリースし、残価補償額が10万円、リース期間は5年で7月に契約した場合
{(300万円-10万円)÷60カ月}×6カ月=29万円
リース契約初年度に経費に入れる金額は、29万円となります。
つまり、契約期間終了後に自分のものになる場合は通常の耐用年数での減価償却、自分のものにならない場合はリース期間に基づいた減価償却と覚えておきましょう。
オペレーティング・リース
途中でキャンセルができる、いわゆる「ただ借りているだけ」というリース契約です。
オペレーティング・リース契約の場合は、支払いの全額を支払日にリース料として経費計上します。
リース契約において頭金を入れるとどう経理処理するのか?
リース契約時に月々の支払いの金額を減らすために頭金を支払うことを選択する人もいるでしょう。頭金を契約時に支払った場合、頭金は資産計上することになります。
たとえば、250万円の車を5年リースすることになり、頭金を100万円、残り150万円をリース期間で毎月支払っていくとします。このとき、頭金の100万円は「前払費用」という資産の項目で計上します。そして、「前払費用」は決算時に償却 して「前払費用償却」あるいは「雑費」などの勘定科目を用いて費用化されます。償却期間は所有権が移転する場合はリース資産の耐用年数、所有権が移転しない場合は、リース期間となります。
頭金の会計処理を間違えていた場合はどうなる?
本来前払費用として資産計上し、償却によって費用処理しないといけないにも関わらず、支払時に 全額を雑費で計上していた場合、過少申告 により追徴課税が課せられます。
一例を挙げると、契約期間が5年で、期間満了後には資産を返却しなければならないリース契約の際に 100万円を頭金として支払っていたとします。本来は頭金を5年で割った20万円しか雑費として計上できませんが、 それを知らずに 100万円を雑費で経費計上していた場合、経費を80万円多く計上することになり、所得がその分圧縮されます。
つまり、本来かかるはずの税金がかからないことになり、税務調査でそれを指摘されると延滞税などが発生し、結果的に多額の税金を納めることになります。
自分が行ったリース契約は頭金があるのかないのか、そしてどういった契約形態なのか。必ずこの点を確認し、正しく記帳を行いましょう。