費用収益対応の原則を理解して節税対策をしよう
在庫を見る男性

「今年は利益がかなり出ているので税金が高くなりそうだ。それなら、どうせ来年にも使うから年末にドカッと仕入れをして節税しよう!」と思っているそこのあなた。実はそれ、今年の経費に入れることができないのです。一体それはなぜなのか。改めて会計の原則を学びましょう。

売上原価と販売費および一般管理費(販売管理費)

費用収益対応の原則の説明の前に、まずは売上原価と販売費及び一般管理費(以下、販売管理費)の違いについておさらいをしましょう。

 

  • 売上原価……売り上げに直接的にかかった費用
  • 販売管理費……売り上げに間接的にかかった費用

 

<例>お祭りの屋台で焼きそばを販売することにしました。その際の費用の分類は以下の通りです。

  • そば……売上原価
  • ソース……売上原価
  • プラスチック容器……販売管理費
  • 割り箸……販売管理費

 

つまり、売る物そのものにかかる費用が売上原価、それ以外の補助的な費用が販売管理費です。極論をいえば、容器とプラスチックがなくても焼きそばは売れますが、そばとソースがなければ売り上げは上がらないことから、直接的な費用と間接的な費用に区分されます。

費用収益対応の原則

会計上、費用と収益は対応している必要があります。これは「費用収益対応の原則」と呼ばれ、「費用は当期の収益と因果関係のあるものしか計上できない」という原則です。つまり、今期の売り上げに関係する費用しか、今期の経費には計上してはいけません。そして当期に計上しなかった費用に関しては、将来その材料を元に利益が得られる可能性があるため、「資産」として計上する必要があるのです。

 

上述のやきそばの屋台の例で説明してみましょう。

 

屋台のオーナーが12月の末頃に、今期はたくさん利益が出たので節税対策を講じようとしたとします。その対策とは、1月にもお祭りがたくさんあるため、あらかじめ「そば」と「ソース」を大量に仕入れるといったことです。しかしながら、その仕入れは翌年1月に出る収益に対する費用になるため、今期の費用には計上できません。そして、その費用として計上できずに期末に残った材料については「期末商品棚卸高」として扱われ、資産として計上されることになります。

売上原価の計算方法

売上原価の計算方法は以下の通りです。

 

期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高

 

たとえば、

  • 1/1時点(期首)の在庫が50万円
  • 今期の仕入れが120万円
  • 12/31時点(期末)の在庫が80万円

 

とすると、当期の売上原価は、50万円+120万円-80万円=90万円となり、80万円が資産とされます。

個別的対応と期間的対応

上記の例でいうと、割り箸やプラスチック容器も在庫を計算しないといけないのかという疑問が出てきます。結論からいうと、その必要はありません。というのは、売り上げと売上原価のように明らかに収益と費用に因果関係があるものは「個別的対応」で処理する必要がありますが、売り上げと販売管理費のように因果関係が希薄な費用に関しては、「期間的対応」で処理します。期間的対応とは、事業年度や会計期間を基準に、費用が発生した段階で計上する発生主義の原則で考える対応方法です。

 

費用収益対応の原則や発生主義にみられるこれら会計の原則は、利益操作を防ぐためにあります。正しい知識を備えて、しっかりと節税対策を取っていきましょう。

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