民泊を副業でおこなっている場合、なにが必要経費になるの?

副業で得た所得は税法上「雑所得」に区分されます。この「所得」は、副業で得たお金(収入)から副業にかかった費用(必要経費)を差し引いて算出します。これは、確定申告義務の判定や所得税額に直結することになります。

そもそも必要経費とは?

民泊事業による「必要経費」については、国税庁ウェブサイトに下記のように記載されています。

 

必要経費に算入できる費用は、①その収入金額を得るため直接に要した費用及び②その年における販売費、一般管理費その他住宅宿泊事業による所得を生ずべき業務について生じた費用です。

 

具体例は、次のとおりです。

・住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料
・住宅宿泊管理業者等に支払う管理費用や広告宣伝費
・水道光熱費
・通信費
・非常用照明器具の購入及び設置費用
・宿泊者用の日用品等購入費
・住宅宿泊事業に利用している家屋の減価償却費
・固定資産税
・住宅宿泊事業用資金の借入金利子
※生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃等は必要経費に算入できません。

出典:住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等ついて(情報)

 

つまり、「民泊収入を得るためにかかった費用については必要経費として計上し、所得の計算上、収入金額から差し引くことができる」ということです。

 

また必要経費となる費用はここに挙げられているものだけに限りません。雑所得の金額は「収入金額-必要経費」によって算出されます。雑所得の金額によって、納める税額にも影響がありますし、場合によっては確定申告の必要がなくなる、という可能性もあります。そのため必要経費の計算は、民泊をはじめとする雑所得の計算においてとても重要なのです。

雑所得の計算のポイント

雑所得の計算のために注意すべきポイントは3点です。

雑所得計算のポイント1:証明物

雑所得の金額は、収入と必要経費から計算します。これらを計算するにあたり、それぞれの「証明物」を集めて保管することが必要です。証明物とは、収入であれば仲介業者から発行される売上資料などであり、必要経費であれば支払いを証明する領収書やレシート、利用明細書などです。これらは確定申告時に提出する必要はありません。しかし、確定申告後7年間の保管義務があります。

雑所得計算のポイント2:集計

集計とは、民泊事業による収入、必要経費の金額を計算し、所得金額を算出することです。所得の計算は1月1日から12月31日の1年間でおこないます。そのため、収入、必要経費についても1年間分の集計が必要です。集めた証明物をもとに、日々発生する収入、必要経費をもれなく集計しましょう。

雑所得計算のポイント3:必要経費の事業按分

民泊事業の所得を計算する上で重要なのは、必要経費の事業按分です。「事業按分」とは、支出が民泊事業の必要経費と生活用の両方にかかっている場合に、民泊事業にの割合に応じて必要経費を計上する、ということです。計算方法の一例として、物件における民泊事業の面積の割合や、宿泊に使った日数などをもとにする方法があります。

 

例:水道光熱費の事業按分

  • 年間の水道光熱費の金額:24万円
  • 民泊事業に利用した住宅の総面積:180平米
  • 総面積のうち、主に民泊事業に利用した面積:60平米
  • 1年間で実際に宿泊客を宿泊させた日数:90日

 

24万円×(60平米/180平米)×(90日/365日)=19,727円

必要経費に算入する水道光熱費の金額:19,727円

 

水道光熱費、通信費、物件にかかる固定資産税などは事業按分して計上することが必要です。民泊の雑所得を確定申告するためには、必要経費の計算が不可欠です。誤りのない確定申告のため、ご自身が損をしないためにも、必要経費に関する正しい知識を身に付けておきましょう。

Free Download 無料ダウンロード資料
確定申告の基礎知識に関するマンガや資料を
無料でダウンロードいただけます。