「e-Tax」でインターネットを使って確定申告!メリットと手順

※本記事は2020年12月25日に更新されました。

確定申告について調べると、一度は目にする「e-Tax」(電子申告)というキーワード。インターネットを経由してさまざまな税務手続きのできるこのシステムについて、そもそもe-Taxとは何かからe-Taxで確定申告をするメリット、実際にe-Taxを始める手順までを解説します。

そもそも「e-Tax」(電子申告)とは?

「e-Tax」とは、国税電子申告・納税システムのことです。

 

従来、確定申告は税務署に直接、または郵送で紙の申告書を提出して行うものでした。一方、e-Taxを活用すれば、自宅のパソコンからインターネットを通じて確定申告手続きを行うことができます。

 

また、税務署の窓口は通常、平日の日中のみ提出を受け付けています。それに対して、確定申告時期であれば、e-Taxは24時間、提出を受け付けています。忙しくて税務署に行っている暇がないという人は、ぜひとも活用したいシステムです。

e-Taxでできる手続きは確定申告だけではない

e-Taxでは、よく知られている所得税の確定申告以外にも、さまざまな手続きが行えます。

(1)申告手続き

  • 所得税及び復興特別所得税にかかわる申告
  • 贈与税にかかわる申告
  • 法人税、地方法人税にかかわる申告
  • 消費税、地方消費税にかかわる申告
  • 復興特別法人税にかかわる申告
  • 酒税及び印紙税にかかわる申告
    ※すべて、死亡した場合のいわゆる準確定申告を除く

(2)納税手続き

すべての税の納税
※源泉所得税の納付や納税証明書の発行のための手数料の納付を含む

(3)申請、届出

  • 青色申告の承認申請
  • 納税地の異動届及び納税証明書の交付請求
  • 法定調書の提出などの申請、届出
    など

e-Taxで確定申告をする3つのメリット

e-Taxで確定申告をするメリットは、税務署へ足を運んだり、申告書を郵送したりする手間がかからないだけではありません。そのメリットは、主に3つあります。

メリット1. 24時間利用可能

e-Taxのメリットで何より大きいのは、その利用可能時間です。通常、税務署での確定申告手続きの受付時間は、祝日を除く、平日の8時30分から17時まで。平日の日中に税務署に出向かなければならないのは大きな負担ですし、確定申告時期の税務署は非常に混み合っていて時間もかかります。

 

e-Taxならば、確定申告期間は24時間申告書の提出を受け付けており、自宅にいたまま提出できます。通常期・確定申告期間の受付時間は以下のとおりです。

 

通常期

  • 月曜日から金曜日(休祝日および12月29日から1月3日を除く)……24時間(休祝日の翌稼働日は8時30分から利用開始)
  • 毎月の最終土曜日および翌日の日曜日(休祝日および12月29日から1月3日を除く)……8時30分から24時

 

所得税等の確定申告期間

  • 全日(土日祝日等を含む)……24時間(メンテナンス時間を除く

 

なお、確定申告の申告期間はe-Taxであっても従来通りです。2017年の場合は2月16日から申告期間が開始したので、その日からe-Taxで申告書を提出(送信)することができました。e-Taxでは、申告書の作成期間として1カ月前から24時間の利用可能期間が準備されているのです。

 

また、申告の期限は3月15日の24時まで。ただし、ユーザーが確定申告データを送信するだけでなく、税務署側に受信されて初めて提出が完了しますので、ご注意ください。システムを24時間利用できるからといって期限ぎりぎりに送信し、受信される前に日付が変わってしまった……ということのないよう、余裕をもって手続きを行いましょう。

メリット2. 添付書類の提出が不要

確定申告書を書面で提出する場合、給与所得の源泉徴収票や生命保険料控除証明書など、申告書に添付の義務付けられている書類があります。e-Taxを使えば、記載された内容を入力して送信することで、これらの書類の提出を省略できます。以下は、提出を省略できる書類の一覧です。

 

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 公的年金等の源泉徴収票
  • 生命保険料控除証明書
  • 地震保険料控除証明書
  • 社会保険料控除証明書
  • 医療費の領収書
  • 小規模企業共済等掛金控除の払込証明書
  • 寄附金控除の受領証
    など

 

ただし、あくまでもこれらの書類は「提出する必要がない」だけ。法定申告期限から5年間は、手元で保管しておく必要があります。

メリット3. 還付金が早く戻ってくる

確定申告には、申告した結果税金を納める場合(納付申告)と、税金が戻ってくる場合(還付申告)があります。特に後者の対象者にとっては、税金の還付は早ければ早いほどうれしいものです。

 

確定申告書を書面で提出する場合、提出から還付までは1カ月ほどかかるといわれています。しかしe-Taxを利用した電子申告の場合は、提出から2~3週間で還付の手続きが行われます。もちろん所轄税務署の事務処理スピードにもよりますが、おおむね書面申告よりも電子申告の方が早く還付される傾向にあるようです。

e-Taxで電子申告をするまでの手順

最後に、実際にe-Taxで確定申告をするために必要な準備について解説します。

 

(1)パソコン、インターネット利用環境の確認

e-Taxを利用するにあたり、まず準備しなければならないのは、パソコンとインターネット利用環境です。ハードウェアとOSとブラウザそれぞれに、推奨環境が示されています。あらかじめ確認しておきましょう。下記は、2016年度の推奨環境です。

 

■ハードウェア

  • CPU:Pentium4(1.6GHz)以上(またはその相当品)
  • メモリ:512MB 以上
  • ハードディスクドライブ(HDD):2GB以上の空きエリアがあること
  • 画面解像度:1,024×768以上

 

■OSとブラウザ

※Mac OS を利用している方は、e-Taxソフトを利用できません。

 

(2)電子証明書、ICカードリーダーを用意しよう

e-Taxを利用するためには、マイナンバーカードや住民基本台帳カードといった「電子証明書」の組み込まれた身分証明書が必要です。これらは、オンライン上での本人確認書類、身分証といった役割を果たします。

 

次に、電子証明書を読み込むICカードリーダーを準備しましょう。ICカードリーダーは、家電量販店などで3,000円程度で購入できます。その際は、自分が利用するマイナンバーカード(または住民基本台帳カード)、そしてパソコンの環境に対応した製品であることを確認してください。以前からICカードリーダーを持っている場合でも、パソコンを買い替えたり、新しくマイナンバーカードを取得したりした場合はご注意ください。

(3)電子申告・納税等開始届出書を提出し、利用者識別番号を取得しよう

ここまで準備ができたら、いよいよオンラインでの手続きです。e-Taxを開始するには、まず開始届出書を事前に提出し、「利用者識別番号」を取得する必要があります。

 

始めに、e-Taxのサイトの「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」へ行き、手順に従って開始届出書を提出します(書面を郵送しての提出も可能)。その際、「利用区分」の選択では「申告・納税等手続」を選択してください。申告、納税、申請・届出等のいずれの手続きでもe-Taxを利用できるようになります。

 

開始届出書を提出し終えると、「利用者識別番号」が発行、通知されます。これはe-Taxへのログイン時に使用するもので、識別番号と合わせて暗証番号が発行されます。開始届出書を書面で提出した場合は、1週間程度で税務署から利用者識別番号と暗証番号が書面で通知されます。利用者識別番号が発行されたら、e-Taxで確定申告を行う事前準備は完了です。

 

なお、利用者識別番号を忘れたときは、変更等届出書の提出が必要です。すでに利用者識別番号を取得している場合、再度、開始届出書を提出した場合、これまでe-Taxで提出した申告等の内容を確認することができなくなることがありますので注意しましょう。

(4)e-Taxで確定申告書を作成・提出しよう

確定申告書は、e-Taxのサイトの「確定申告書等作成コーナー」から作成します。画面の案内に従って金額等を入力していくと、申告書データの作成、そして電子申告を行うことができます。

 

気を付けなければならないのは、e-Taxを利用して確定申告を行う場合でも、申告に必要な計算や帳簿など、日々の準備は不可欠だということです。その際、利用する会計ソフトによっては、入力した内容をe-Taxへ連携させて申告書を作成できるものもあります。これから会計ソフトを選ぶならば、e-Taxに対応しているかどうかも確認しておきましょう。

 

e-Taxを利用することで、税務手続きの自由度は格段に上がります。今まで活用していなかった人も、次回の確定申告ではぜひチャレンジしてみてください。

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