株を売ったときにかかる税金は?譲渡所得のキホン
株式

株式投資の際、株式を売って利益が出ると、その利益(=譲渡益)には税金がかかります。これは、売却時に得た所得は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税の課税対象となるからです。では一体、どれだけの税金がかかるものなのでしょうか。譲渡所得のキホンを解説します。

株や不動産、土地など、資産を売ったら「譲渡所得」が発生する

そもそも譲渡所得とは、所得税の計算上の区分の1つで、資産を売却して得たお金を指します。ここでいう資産は株式に限らず、不動産や土地、ゴルフ会員権も含まれます。

 

譲渡所得の基本的な考え方は「いくらで買って、いくらで売ったか」ということ。買った金額よりも売った金額の方が大きければ譲渡所得はプラスとなり、所得税の課税対象となります。反対に買った金額よりも売った金額の方が小さければ譲渡所得はマイナスとなり、課税対象にはなりません。つまり、譲渡所得は買った金額と売った金額(売るためにかかった費用を含む)のどちらが大きいかがポイントになるのです。

株式の譲渡所得はどう計算するの?

株式等(上場株式等と一般株式等)の譲渡所得は次のように計算します。

株式の譲渡所得の計算式

総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)=譲渡所得等の金額

 

譲渡所得の金額がプラスの場合、これに対する所得税を計算する必要があります。株式の譲渡所得に対する税率は20%(所得税15%、住民税5%)。これは「申告分離課税」と呼ばれており、その他の所得(事業所得、給与所得等)とは別に所得税額を計算し、算出された税額を足し合わせて申告を行います。

 

ただし、2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付します。

株取引では「特定口座」を選べば確定申告不要!

先に説明したとおり、株式の売却によって利益が発生した場合は、その譲渡所得を申告して、所得税を納める必要があります。実は、株式投資を始めるために証券口座を作る際、「特定口座(源泉徴収あり)」を選んで取引を行うと、利益が発生しても確定申告をせずに済みます。

 

特定口座(源泉徴収あり)は、口座内で発生した譲渡所得について所得税と住民税があらかじめ利益から引かれるため、確定申告をする必要がありません。ただし、「特定口座(源泉徴収なし)」の場合は、その証券会社の特定口座内の所得金額を計算した「年間取引報告書」をもとに簡易的な申告が必要になります。また、「一般口座」を選択した場合は、自分で譲渡所得を計算して申告します。

譲渡損失が出たら損益通算、損失繰越ができる?

通常、特定口座(源泉徴収あり)を選択していれば、その口座内での取引については申告の必要はありません。ただし、あえて申告をしておいた方が良いケースがあります。それは譲渡所得がマイナス(損失)になっている場合です。

 

特定口座内での取引で損失が発生した場合、その損失自体に対して税金はかかりません。しかし、確定申告を行うことで、ほかの上場株式等にかかわる譲渡所得や、配当金などで発生した利益と相殺することができます。これを「損益通算」といいます。

 

また、損益通算しても控除しきれない(利益金額から損失金額を差し引いても、損失が引ききれない)場合は、翌年以後3年間にわたり、上場株式の譲渡所得、配当所得の金額から差し引くことができます。これを「損失の繰越控除」といいます。これらの制度を活用することで「損失を無駄にしない」ことができます。

 

ただし特定口座内で損失が出ていても、それを含めずに申告書を提出した場合は、あとから損益通算や損失繰越をすることはできません。損失が発生している場合は、申告の必要があるかどうか、十分確認しましょう。

 

運用している株式を売却したら、利益が出ても損が出ても、まずはその内容を確定申告する必要があるのかどうかを確認しましょう!

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