青色申告で確定申告を行うには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。本記事では、その申請書の書き方を解説します。

確定申告は、青色申告で行うと節税効果が大きい！

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。

青色申告は毎日しっかりと帳簿付けを行い、その内容に基づいて申告する制度です。これにより、最大65万円の特別控除や赤字を3年間繰り越すことができるなど、節税面でさまざまなメリットがあります。

一方、白色申告は申請書の提出が必要なく、特別控除などの負担減はありません。以前は、前年度や前々年度の所得が300万円未満であれば、帳簿付けの必要がない手軽さがメリットでしたが、2011年の税制改正により、白色申告者も帳簿付けが義務化されました。これによって、白色申告者でいるメリットは完全になくなったといえるでしょう。

現在では「確定申告といえば青色申告」といわれるようになっています。

青色申告承認申請書の書き方

（1）＿＿＿税務署長

納税地の住所を管轄する税務署を記載します。管轄税務署は、国税庁サイトの「国税局・税務署を調べる」で確認できます。

（2）＿＿年＿＿月＿＿日提出

提出する日を書きます。

（3）納税地

「住所地」「居所地」「事業所等」から該当するものをマルで囲み、住所と電話番号を記載します。

• 住所地……住民票のある住所です。原則、住所地が納税地になります。
• 居所地……住民票とは別の住所です。住民票とは別の場所が主な活動場所の場合は、特例的に居所地を納税地にすることができます。
• 事業所……自宅とは別に事業所がある場合は、特例的に事業所を納税地にすることができます。

（4）上記以外の住所地・事業所等

自宅を事務所としている場合は空欄で構いません。自宅と事業所が別にある場合に記載します。自宅が納税地なら事業所の住所、事業所が納税地なら自宅の住所を書きましょう。

（5）職業

仕事内容を書きます。たとえば、「ウェブ制作」「中古車販売」「学習塾」「美容室」などです。

（6）屋号

屋号とは、お店の名前です。個人事業主であれば、空欄のままでも問題ありません。

（7）令和＿＿年分以後の所得税の申告は、青色申告書によりたいので申請します。

この申請書は、青色申告で申告を行いたい年の3月15日までに提出する必要があります。たとえば、令和2年分の申告を青色申告で行いたい場合は、令和2年の3月15日までに提出しなければなりません。この日を過ぎると、令和3年分からしか青色申告はできません。

（8）事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地

店舗名とその住所を書きましょう。

（9）所得の種類

家賃収入がある人は「不動産所得」に、山林を伐採してそれを売却することで売り上げがある人は「山林所得」にマルをします。それ以外の人は、「事業所得」選択します。

（10）いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無

過去に青色申告をしたことがなければ、「（2）無」を選びます。

（11）本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日

本年1月16日以後に開業の場合は、開業日を書きます。

（12）相続による事業承継の有無

事業を引き継いだ場合であれば、その日にちを書きます。

（13）その他参考事項

①簿記方式
会計ソフトなどを利用し、正規の簿記の原則に則った帳簿の付け方が「複式簿記」です。一方、「簡易簿記」は家計簿のように、収入と支出だけを記録するものです。

②備付帳簿名
いくつか種類がありますが、税務署による調査のときは、少なくとも以下の帳簿の提出を求められます。すなわち、少なくともこれだけは作成する必要があるということです。そこで、以下の帳簿名にマルをつけましょう。

【簡易簿記の場合】

• 現金出納帳……日々の事業用の現金の出し入れを記録する帳簿です。

【複式簿記の場合】

• 仕訳帳……日々の取引やお金の流れを、勘定科目を用いた仕訳の形で記録する帳簿です。
• 総勘定元帳……仕訳帳の内容を勘定科目ごとに整理し、それぞれの残高を把握するための帳簿です。　※総勘定元帳が、現金出納帳の役割を含んでいます。
• 固定資産台帳……たとえば自動車など、所有している固定資産の種類や価値を記録しておく帳簿です。

申請書の作成と提出は、少し面倒に感じるかもしれません。しかし、この手間さえ乗り切れば、税金面で多くの恩恵を受けることができます。これを参考に、ぜひ青色申告で確定申告を行ってみましょう！