個人事業主が結婚して住所や氏名を変更した場合にやるべきこと

※この記事は2020年12月25日に、税制改正にあわせ、内容を一部修正しました。

人生の大きなイベントに結婚があります。個人事業主が結婚によって住所や氏名を変更したり、事業をやめたりした場合、どういった手続きが必要なのでしょうか? 結婚後の確定申告に向けてすべき手続きを解説します。

結婚で住所、氏名変更をしたときに必要な税務署への手続き

結婚で氏名や住所を変更した際には、税務署に各種届出書を提出する必要があります。結婚で個人事業をやめた場合も、事業廃止の届け出をする必要がありますので、ご注意ください。各届出書や条件、提出期限は以下の通りです。

 

税務関係だけでなく、銀行口座や生命保険の契約などの氏名、住所変更は、確定申告にも関係します。特に銀行口座の名義を変更していないと、確定申告をした申告者名と振込先の名義が異なるため、還付金が振り込まれません。また、確定申告時に提出が必要なマイナンバーにひもづいた住所氏名も、すみやかに変更しておきましょう。

 

▼参考記事

引越したら、どちらの住所で確定申告をしたらいいの?

確定申告前に確認したい「扶養」についての条件

結婚した後、一定の条件を満たせば、夫か妻のどちらかが配偶者の扶養に入ることができます。「扶養」と一口でいっても、税務上の扶養と社会保険上の扶養があります。

税務上の扶養

税金上の扶養とは、納税者本人の税金を計算する際に、一定条件の配偶者や扶養親族がいる場合、所得控除を受けられる制度です。

 

確定申告の対象となる年の12月31日時点で入籍をしており、配偶者の所得が48万円以下(2019年分以前は38万円以下)であれば、その納税者は配偶者を扶養に入れ、「配偶者控除」が受けられます(2018年分以後は、配偶者控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用不可)。配偶者の所得が48万円を超えていても、133万円以下であれば、扶養に入れ、「配偶者特別控除」が受けられます。「配偶者特別控除」の具体的な控除金額に関しては、以下の表でご確認ください。

社会保険上の扶養

夫婦の一方が会社勤めで健康保険に加入しており、もう一方が一定の条件(収入が130万円未満、かつ配偶者の収入の2分の1以下 ※協会けんぽの場合)を満たしていれば、健康保険の扶養に入れることができます。

 

ただし、扶養に入れられるかどうかは、配偶者の年間収入ではありません。配偶者の収入が130万円を超える見込みの収入額を継続的に得られるようになった時点で、扶養からは外れます。つまり、130万円÷12カ月=10万8,333円(月額)以上の金額を受け取っていた場合は、配偶者が扶養から外れるわけです。

 

なお、夫婦がともに個人事業主の場合は、2人とも国民健康保険に加入します。国民健康保険には扶養という考え方はないため、世帯で加入する人数と世帯全体の所得に対して保険料が決まります。納付書は夫婦のそれぞれではなく、世帯単位で届きます。

 

▼参考記事

扶養に入れる条件が106万円に変わる? 社会保険の変更点

間違いやすい、税金・社会保険、給与手当の「扶養」と条件

 

結婚後の確定申告は、確定申告時の氏名、住所で行います。申告時にあわてないよう、各種手続きは早めにすませておきましょう。また氏名が変わった場合は、念のため、確定申告書の備考欄に、苗字が変更になったこと、その年月日を記しておくことをおすすめします。

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