日々の業務の移動や配送などで車だけではなくバイクを使用する個人事業主も多いと思います。今回は、バイクを購入した際、どのような必要経費になるかを解説します。
バイクはどんな経費になる?
バイクは事業用資産の位置づけになり、車と同様に資産計上し、減価償却によって必要経費を計上します。
減価償却とは
減価償却とは、通常その年だけではなく複数年にわたり業務で使用することが予想され、時間の経過とともに価値が下がるものについて、ある一定年数(耐用年数)に分けて経費計上を行う考え方のこと。
バイクは一度購入したら何年間かは使用すると考えられ、売却するときは購入したときよりも値段が下がっているので、減価償却資産として考えます。
バイクの減価償却期間
では、バイクは何年に分けて必要経費として計上していくのでしょうか。
減価償却資産の耐用年数は、資産ごとに決められています。バイクの耐用年数は、排気量や金額に関わらず新車の場合は3年です。減価償却費は資産の利用月数に応じて計上するため、新車のバイクを購入した月から36カ月に亘って経費計上します。
減価償却資産の経費計上金額例
例:36万円のバイクを2017年10月に購入した場合の、各年度の経費計上金額
- 2017年度(2017年10月~2017年12月)……3万円(36万円×3/36)
- 2018年度(2018年1月~12月)……12万円(36万円×12/36)
- 2019年度(2019年1月~12月)……12万円(36万円×12/36)
- 2020年度(2020年1月~9月)……9万円(36万円×9/36)
もし、購入したバイクが中古の場合、法定耐用年数は2年のため、24カ月に分けて経費を計上します。
減価償却の計算:定額法と定率法とは
新車でも中古でも、バイクの減価償却は基本的に同じ額を計上していく「定額法」で行います。
ただし、事前に「減価償却資産の償却方法の選択書」を税務署へ提出すれば、「定率法」も選択できます。定率法は毎年同じ割合で経費を計上するため、最初の年が一番経費計上できる金額が多く、年々少なくなっていきます。
定額法と定率法のどちらを選ぶかの基準は、「確定申告前に減価償却の仕組みと注意点をおさらいしよう!」で解説しています。
バイクの購入金額を一括で計上する方法
基本的にバイクは減価償却資産として3年に分けて経費計上しますが、例外的に一括で計上する場合が2点あります。
10万円未満のバイクを購入した場合
1点目は、購入金額が10万円未満のもの。金額が10万円未満の場合は消耗品費として扱うため、複数年業務で使用するものでも購入年に一括で計上します。
30万円未満のバイクを購入し、青色申告をしている場合
2点目は、購入金額が10万円以上30万円未満の場合で、かつ青色申告を選択している方。
青色申告者の特典として、購入年一括で経費計上ることも可能ですし3年に分けて経費計上することも可能です。
どちらの方法で計上するかのポイントは、利益状況から判断します。たとえば、当年だけ突発的に利益が出ている場合は、一括計上を選択して当年の所得を小さくすれば、支払う税金を抑えることができます。逆に翌年以降も安定した利益が見込める場合は、一括計上を選択する必要はあまりないでしょう。さまざまなケースに合わせて計上できる金額を変更できるのは青色申告の良さの一つです。
なお、バイクの購入金額が30万円以上の場合は上で述べた減価償却の計算方法で計上します。
バイクに関わるさまざまな必要経費
バイクの本体価格の購入金額が必要経費になることはもちろんですが、そのほかにも業務に必要と判断されれば、以下の内容も必要経費に計上できます。
- バイクの自動車税
- 自賠責保険料
- 任意保険料
- ガソリン代
- オイル代
- 修理代
- 付属品代
- 駐輪場代
ここで挙げたものは一例であり、もし業務に必要なものであれば、上記以外でも経費として認められます。また、上に挙げたものであっても、改修費などで業務に必要ではないと判断された場合は全額、もしくは一部の代金は必要経費として認められません。
バイクを購入した際はどのような経費計上が必要か、もしくはどんなものが必要経費として認められるか等を把握していれば、バイクに関しての必要経費の計上漏れが少なくなります。しっかりと事前に確認し、不明点があれば税理士や会計士に相談されることをお勧めします。