業務中に事故…損害賠償金は経費にできる?

もし仕事で車を運転していて事故を起こし、他人の車を破損してしまったり、怪我をさせてしまったりした場合、自分になんらかの過失がある場合は、損害賠償金を支払わなければなりません。損害賠償金が経費として計上できる条件について解説します。

損害賠償が経費になる条件

損害賠償金とは、事故や不法行為などで他人に何らかの損害を与えた場合、それを埋め合わせるために支払った代金を指します。慰謝料、示談金、見舞金などの名称を問わず、他人に与えた損害を補てんするために支払う一切の金額が含まれます。

 

損害賠償金が経費として計上できるのは、次の二点がともに当てはまる場合です。

 

  • 事故が業務に関連している
  • 事故の原因に故意または重大な過失がない

 

なお、自分自身だけではなく、従業員が起こした事故も対象となります。損害賠償金の勘定項目に決まりはありませんが、一般的には「雑損失勘定」に分類されます。

事故が事業に関連しているかどうか

経費に計上できる代金は、事業に関係があるものに限られています。損害賠償金であれば、事故が業務上に起こったものかどうかで判断されます。

 

たとえば、木材の運送業を営むAさんが、木材を運んでいる最中に事故を起こしてしまいました。これは、事業との関連性があると判断されます。逆に、たとえ事業用の車を運転していたとしても、家族旅行へ出かける途中に起こした事故であれば、事業との関連性はなしと判断されます。

事故の原因に故意または重大な過失があったかどうか

故意に事故を起こしたり、自己責任の問われるような過失が原因だったりした場合は、損害賠償金を経費として計上することはできません。

 

たとえば、交通事故の場合ですと、無免許運転、高速度運転、酒気帯び運転、信号無視などによる事故は、特別の事情がない限り重大な過失があったとされます。

 

つまり、「致し方ない事故」に限り、経費計上が認められるということです。ただ、明確な定義はないため、事故のケースによっては税理士や税務署に相談したほうがよいかもしれません。

 

なお、従業員が起こした事故に関しても事業主側が負担するケースがほとんどですが、これは原則として経費にすることができます。こちらも故意、または重大な過失があったかが問われますが、それは事業主に対してであり、事故を起こした従業員には問われません。したがって、従業員に故意、または重大な過失があったとしても、事業主側が負担した分は経費に落とすことができます

 

事故を起こさないに越したことはありません。しかし、安全に事業を運営していくためにも、万が一の事態の備えた知識は持っておきたいものです。

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