個人事業主向け源泉徴収額の計算方法・納付方法
源泉徴収の計算

従業員を雇っていたり、個人に外注をしていたりする場合、事業主は支払いの際に源泉徴収をしなければなりません。源泉徴収とは、給与や報酬からあらかじめ所得税を差し引くこと。引かれる所得税は源泉所得税と呼ばれ、事業主は金額の計算と納付の義務を負います。その方法とコツを解説します。

源泉徴収する所得税の金額を計算する

源泉所得税の具体的な金額は、「源泉徴収税額表」をもとに決定します。源泉徴収税額表は、国税庁のサイトや、最寄りの税務署で手に入れることができます。源泉徴収税額表から税額を計算する際は、下記の4項目に注意しましょう。なお、「源泉徴収税額表」は変更のある年もあります。必ず最新版を使用するようにしてください。

源泉徴収税額を計算する際のチェック項目

「甲」か「乙」か

源泉徴収税額表には、「甲」と「乙」の欄があり、それぞれの税額は異なります。まず、対象となる従業員が「甲」にあたるか「乙」にあたるかを確定しましょう。ほかの事業所で仕事をしていない従業員は「甲」にあたります。ほかの事業所でも仕事をしている従業員は、メインの事業所では「甲」となり、サブの事業所では「乙」となります。従業員はメインとなる事業所に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を提出する必要があります。

 

扶養親族は何人か

扶養親族の数が多いと、源泉徴収税額は小さくなります。16歳未満の子どもは扶養親族の数にカウントされないので注意しましょう。

 

交通費の取り扱いは?

交通費を支給している場合、通常は給与に含まれないため、源泉徴収税の課税対象にはなりません。ただし、課税対象にならない交通費には限度があり、超える部分は給与として課税されます。たとえば、マイカー通勤の場合は、距離に応じて限度が定められています。

 

社会保険料等はいくらか

社会保険料等とは、ここでは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険を意味します。これらを差し引いた給与額が源泉徴収税の課税対象となります。

源泉徴収税を納付する時期は?

こうして導き出した源泉徴収税は、いつ納付すればよいのでしょうか。 会計上「4月の給与」とは、支給時期に限らず「4月に働いた分の給与」を指します。支給が5月だろうが、6月だろうが、来年の1月だろうが、「4月の給与」として経費計上されるのです。

 

一方、源泉徴収は給与を支給するタイミングで行います。そして、源泉所得税は源泉徴収した月の翌月10日が納付期限。つまり、4月に働いた分の給与を10月1日に支給する場合、源泉徴収は10月、納付期限は11月10日となります。 とはいえ、従業員全員分の源泉徴収税を毎月納付するのは、かなりの手間ですよね。そのため、源泉徴収税の納付には特例が用意されています。

源泉所得税の納期の特例

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して受理されると、特例的に納付期限が変更され、納付が年2回となります。

 

  • 1~6月支給分→7月10日が納付期限
  • 7~12月支給分→翌年1月20日が納付期限

 

年始は事業主にとって忙しい時期ですから、12月徴収分が、翌年1月10日ではなく1月20日までになるのもありがたいですね。 源泉徴収税の計算は、初めは迷うかもしれません。しかし、「源泉徴収税額表」の見方さえマスターすれば、毎月同じことの繰り返しなので単純です。まずはこの記事を参考にして、チャレンジしてみてください。

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